エンターテイメント業界ではコンサートや舞台が次々に中止になるなど、コロナでの打撃は計り知れない。
そんな中、このコロナの時期を逆手にとりエンターテイメント業界で成功を収めたグループがある。
それは、ジャニーズ事務所に所属する『Kis-My-Ft2』だ。
キスマイとはどんなグループか
キスマイとSMAP
光のシグナルを一緒に歌ったってそれSMAPさんやん!!中居さんやん!!
キスマイありがとう!!!泣#CDTVライブライブ#キスマイ#中居正広 pic.twitter.com/rQBL5BiFrw— Kマップ (@K29906610) March 30, 2020
キスマイと呼ばれることも多いKis-My-Ft2は、ジャニーズ事務所に所属しているアイドルグループである。
2011年にavex(エイベックス)から『Everybody Go』でデビュー。デビュー曲はグループの玉森裕太、藤ヶ谷太輔が主演したドラマの主題歌となり話題となった。
『SMAP』の担当であった飯島マネージャーがキスマイを面倒みていたこともあり、SMAPの番組やドラマへの出演を機にバラエティー番組を中心に活動してきた。
二階堂高嗣・千賀健永・宮田俊哉・横尾渉の後列4人のために『舞祭組(ぶさいく)』を作り、プロデューサーを務めたのはSMAPの中居正広である。
しかし、多くの国民が存じている通りSMAPは2016年に解散。飯島マネージャーと3人のメンバーは事務所を去った。
飯島派閥に所属していたキスマイは危機的状況を迎えることになる。
デビュー以来毎年行っていた東京ドームでのコンサートも2017年にはアリーナ規模へ縮小された。
ドラマへの出演本数や仕事も少なくなった。
このまま解散するのではという声も聞こえた。
キスマイを信じたファンとの絆
そんなとき、キスマイを支えたのは『ファン』であった。
キスマイのファンはあきらめなかった。
どんな危機的状況でも、自分たちにできることを行う。
CDを買う、雑誌を買う、メンバーのCMをしているものを買う、出演したテレビ番組やラジオ番組には積極的に感想を送る。
かなり地味な作業ではあるが、キスマイファンは一つひとつがキスマイのためになると信じた。
事務所に推されなくても、自分たちがキスマイを押し上げていくというファンの行動がキスマイを支えたのだ。
キスマイの復活と紅白出場
2018年には、埼玉を含めた5大ドームツアーが行われた。
北山宏光や玉森裕太の主演映画が公開されることも発表され、少しずつではあるがキスマイのジャニーズでの地位が戻っていった。
2019年には、デビュー当時から番組名を変えながらも続いていた冠番組『10万円でできるかな』がゴールデンタイムに進出。
宝くじを必死に削る姿、1000円のガチャポンを一生懸命に回す姿が話題となった。
また、横尾渉・千賀健永・北山宏光らが出演している『プレバト!!』の俳句の査定ランキングでの活躍も著しく、年配世代への認知度も高くなった。
そして2019年の年末には、NHK紅白歌合戦に出場する。
キスマイ紅白出場おめでとう〜🎊
キスマイ7人の努力が報われて紅白出場出来たことほんと嬉しい😭😭😭😭😭😭😭😭Kis-My-Ft2/Edge of Days pic.twitter.com/axorzKtW7F
— ゆう (@YFpxuf) November 14, 2019
正直、キスマイよりもCDが売れていないグループでもジャニーズ枠として出場できていた紅白歌合戦。
デビュー8年目にしてやっと出場することができたのだ。
これは、ジャニーズ事務所がキスマイを認めてくれた結果なのかもしれない。
キスマイとWEBFES
キスマイファンが発信した『#エアToy2』
2020年3月にニューアルバム『To-y2(トイズ)』を発売。
4月からは、アルバムを引っさげた『Kis-My-Ft2 LIVE TOUR 2020 To-y2』を東京・埼玉・名古屋・大阪・福岡の5大ドームツアーを行う予定だったキスマイ。
コロナウイルスの影響で、全ての公演の中止が発表となった。
東京ドーム公演が行われる予定だった4月9日。
Twitter上では『#エアToy2』というタグがトレンドに。
これは、キスマイのファンが実際にコンサート初日だったら・・・という想像が広まったものであった。
この『#エアToy2』はメンバーの耳にも入ることになり、北山宏光や宮田俊哉も会員制のブログを通して驚きと感謝を伝えた。
横尾渉がラジオで「公演日には毎回やってほしい」と発言したこともあり、その後も公演する予定だった日には『#エアToy2』でTwitterを賑わせていた。
ファンからの『#エアToy2』を実現させたキスマイ
5月16日(土)本来ならば埼玉での公演日であり、メンバーの横尾渉の誕生日であったこの日。
エイベックスは『Kis-My-Ft2 WEBFES』を開催することを発表した。
過去のライブ映像を編集し、YouTubeで無料配信をするというものだった。
ファン発信であった『#エアToy2』をキスマイとエイベックスが実現したとも言えるだろう。
Day1の開催日は、5月17日(日)の18時。
これは埼玉2日目公演が開演される予定だった時間だ。
自宅で一緒に見るとの報告をしたメンバーもおり、メンバーと一緒にWEBFESを楽しめることに。
この『Kis-My-Ft2 WEBFES』はDay1の『入門編』から始まり、Day2は大阪公演の予定日だった5月24日に『オラオラ編』、翌週の31日にはキスマイの代名詞である『ローラー編』、福岡公演1日目の予定日だった6月6日には派生ユニット『舞祭組』のパフォーマンスを含めた『ユニット編』が公開された。
すると、Day1、Day2と配信されるたびにTwitter上では新規ファンが増えていったのである。
無料で観ることができる手軽さが、さまざまな層の人々を『キスマイの沼へ』落とすこととなったのだ。
中には今までジャニーズが嫌いだったという人。アニメオタクである宮田俊哉の影響でアニメファンからキスマイのファンになった人。そして他のグループのファンからの掛け持ちなど多くの人からファンクラブに入ったとの報告があった。
さらに、新規のファンが購入したことにより楽天やAmazonなどではキスマイのコンサートDVDが品薄状態に。一部売り切れとなったものもあったそうだ。
コンサート最終日の予定だった6月7日には『Kis-My-Ft2 WEBFES FINAL』と称し、2018年に開催されたコンサート『FREE HUGS!』の本編がほぼそのまま配信された。
7人のソロ曲も含まれ、得意の特効やローラースケートも盛り込まれた『FINAL』は1週間での再生回数が100万回を突破した。
そして、今まで選ばれなかったエモい曲を中心に『Kis-My-Ft2 WEBFES FINAL EXTRA』を6月14日に開催することも発表。ファンの声に答えた形での追加公演である。
キスマイのビジュアルコメンタリー
この『Kis-My-Ft2 WEBFES』、実はファンクラブ会員へビジュアルコメンタリーが配信されていた。
同時再生すれば、WEBFESをメンバーのコメント付きで一緒に見ることができる。
Day1は宮玉コンビとして人気のある宮田俊哉と玉森裕太。
Day2はわたたいコンビの横尾渉と藤ヶ谷太輔。
Day3は最年少コンビニカ千の二階堂高嗣と千賀健永。
Day4は北山宏光と宮田俊哉。
そしてFINALは、宮田俊哉がMCを務めメンバー全員での座談会が配信された。
YouTubeでの無料配信だけでなく、ファンクラブ会員は会員としての特典をしっかり受けられるこの仕組み。
このコメンタリーをみたいという理由でファンクラブへ入会した新規のファンも多いようだ。
キスマイとエイベックスの成功
今年はコロナウイルスの影響でエンターテイメント業界は大打撃だった。
コンサートができない、舞台ができない。テレビ業界もドラマやバラエティー番組の撮影が止まった。
そんな中、エイベックスとキスマイは『無料配信』という形でエンターテイメントを実現した。
有料で売られているものを無料で配信する勇気、そして既に購入している人からの批判などを考えると容易くできるものではないだろう。
しかしながら、無料配信をしたことによって新規のファンが増え、ファンクラブの会員数が増えた。
元々のファンは新規のファンをより沼に引き込めるように、色々なエピソードやおすすめの映像媒体を発信。
DVDやCDなどの媒体が売れ、SNSはキスマイの話題でいっぱいになった。
コロナ渦の中で、これほどまでに成功したエンターテイメントがあっただろうか。
なかなかジャニーズ事務所から推されることの少ないKis-My-Ft2が、ファンの力、レーベルの力、そして何より自分たちの力で掴み取った結果であろう。
キスマイファンは『コロナの時期にコンサートが中止になった』思い出ではなく、『大変な時期もWEBFESで一緒に楽しめた』思い出が残るのだ。
これからも、キスマイとファン。そしてエイベックスとの絆は続いていくことだろう。
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